まりあ像
服部 剛
「腐った花を捨ててきて!」
主任が言うので部下の僕は
ぐらじおらすのうなだれた
大きな花瓶を両手に抱え
流しのある部屋へ入った
かちゃり
背後から入って来た園長は
「あなた生きてる花も
次から次へと捨てちゃぁだめよ
シンジラレナイ世界だわ
(詩人の魂)は何処へ行ったの
あっはっは 」
あぁ〜
えぇ〜
うぅ〜
しどろもどろするうちに
僕がゴミ箱に捨てた花を選り分けた
園長は
生きたぐらじおらすを
細い花瓶に すっ と立て
いつのまに
部屋から姿を消していた
テーブルの上に残された
細い花瓶を両手に部屋を出て
何処に置こうかうろうろする
ソファーにどっかり
腰を下ろした園長が
指をさした目線の先は
静かに
俯
(
うつむ
)
いて立つまりあ象
足元に細い花瓶を
そぅっと置いた
新たな水にふたたび開いた
ぐらじおらすの
桃色のらっぱから
すーっと昇る薫りに
俯くまりあの顔が
ほころんだ
自由詩
まりあ像
Copyright
服部 剛
2008-07-18 00:01:13
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