天国到着予定時刻
一般詩人-

月を月と識別する為の所要時間が
日に日に大きくなってゆく

眼が見えなくなること
耳が聞こえなくなること
子供の頃はあんなにも恐れていたことが
次第に怖くなくなる

仕方の無いことだと割り切ることもできるし
金を積めば取り返しのつくことだと自分にうそをつくこともできる
子供の頃恐れていたのはそんな言い訳で解決できるものではなく
もう少し根本的に取り返しのつかないものの筈だったが
その根本的な何かに名前を与えられずにいつのまにか
取り返しのつかない駅を乗り過ごしてしまったのだろう

駅のホーム電光掲示板を見上げると
「天国が到着します」という文言が流れている
まだちょっと予定があるし
そういうことはもう少し厳かな手段で報知されるものだと勝手に思っているので
眼科医にお願いして
到着時刻を遅らせてもらう必要がある



自由詩 天国到着予定時刻 Copyright 一般詩人- 2008-07-08 01:09:18
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