遠吠え
亜樹

満月の灰皿に
吸殻を押し付ける
真っ暗な犬
大きな体が闇に溶けた
此処に居るぞ、と
吠え立てる


ネオンに映える
スパンコールが
一瞬の流れ星
赤い車が
クラクションを響かせる
消えてしまえ、と
怒鳴り散らした


満月の灰皿に
吸殻を押し付けて
真っ暗な犬
居場所がない、と
泣き喚き
墜落した星が
革靴に踏まれ
赤い車が
俺を見ろ、と
悲鳴をあげる


今宵はどうも
賑やかな晩
今宵はどうも
華やかな晩
三毛の雄猫が
タクトの代わりに
おっぽを振った


終わりを告げるベルが鳴るまで
なんとまあ賑やかな街
なんとまあ華やかな街!


自由詩 遠吠え Copyright 亜樹 2008-06-23 21:31:28
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