満月の灰皿に
吸殻を押し付ける
真っ暗な犬
大きな体が闇に溶けた
此処に居るぞ、と
吠え立てる


ネオンに映える
スパンコールが
一瞬の流れ星
赤い車が
クラクションを響かせ ....
学者のエタは考えた。
西のお空の姫星が
ある夜不意に消えたのは
一体何が悪かろと。


のまず喰わずで
三日三晩
寝ても醒めても
空ばかし
あるとき派手に転がって
こさえた擦り傷 ....
あのね

いやさ

しようがないよ

ていうか

いいじゃん

まってよつまり

すきなんだって。
陸に上がった魚
窒息する
声が出ない
仕方がないので
しっぽでモールス

{ルビ−−−=ツーツーツー}
{ルビ−−−=ツーツーツー}
{ルビ−−−=ツーツーツー}
{ルビ−−−=ツー ....
 妹島が住んでいる家の庭には、大きな無花果の木が在った。
 その木には無数の実がなっていたが、家主はそれを採りはしない。
 まずいのだ。あれは。
 ちっとも甘くなく、食感もどこかざらついて、その ....
海を旅する船乗は
お星を頼りに進みます
 あんな遠くの光だけ
 あんな昔の光だけ
 

海を旅する船乗よ
お前はきっと
ご存じないだけ
 あれがもう亡いものだとは
 あれが果敢ない ....
まとめて出した紙屑の中に
一つだけ色が違うのが混ざっていて
翌日あれは愛ではなかったのかと、惜しむ

急いで探しに出たものの
それはもう燃やされていて
真っ白な灰
見分けがつかない

 ....
  心臓に小部屋が四つ
 それぞれに
ひとを愛するための部屋です


  ある意味もわからぬままに痛み出す
 盲腸ですか?
それとも心?


  吸い込んだ空気の中の何かのかけら
 ....
雑草という名の草がないことを
承知でヒメジオンを抜く
カラスノエンドウを
クローバーを
タンポポを
抜く

自らの菜園に
みずみずしいトマトが実るよう
花園に大輪のバラが咲き誇るよう ....
今日図書館で谷川俊太郎の『詩人の墓』を読んだ。
そうして大学時代谷川俊太郎を専攻していたというゼミの先生が、今の日本で詩だけで食べてゆけるのは谷川俊太郎一人だと言っていたのを、唐突に思い出したのであ ....
溶けかかったアイスクリームに
人差し指を突っ込んで
どろどろになるまで掻き回す
愛ってきっとそういうことさ

 シュガー シュガー シュガー
 バニラのキス 歪なサイレン
 君の白い ブ ....
昨日の嵐で庭の牡丹が萎れまして
そのくすんだ赤い花弁を撫でながら
ヤライフウウノコエ……と妹が呟きました。
その指の白さと花弁の赤さを見ながら
私は本当に彼女が愛おしいと思うたのです。

 ....
ある日南のお日さまは
悲しいことを知りました
南の空のお日さまを
誰もみつめてくれぬこと

 ひとりぼっちの
 さみしさに
 3月4月と
 泣きぬれて
 それを慰む
 ひともなく… ....
グランドの脇に
今日
ひまわりを植えました。

 球児ばかりを
 尊いかのように
 騒ぎ立てるメディアは
 嫌いなのですが
 どうしてでしょう
 あなた方を見ていると
 なんだか泣 ....
300円で借りられるコインロッカーの中に
入るだけ心を押し込んで
しっかりと鍵をかけたまま
私は逃げた

 一日目には300円
 二日目には3000円
 三日目には10000円……

 ....
子の心親知らずして竹の秋

オレンジの腹を見せ飛ぶつばくらめ

どこの子のために舞うやらこいのぼり

木漏れ日の零るる如く竹の秋
  夜中に咲いている薔薇の下にはぶよぶよした肉塊があって
  その血を吸い上げながら花が咲いている。
  世の中にはオレンジや白の血の色をした生き物はいるが
  空のような青色の血をした生き物は ....
図書室で本を開くと
誰かの髪の毛がはさがっていた
細くて少し茶色がかった…
それは置き忘れられた誰かの遺伝子


合理化なんかが叫ばれて
背表紙の裏に潜んでいた
小さなカードがなくなっ ....
原色の絵の具をぶちまける夢を見た
きっと誰かが
核ミサイルのスイッチを押したんだ

世界の半分がなくなって
月は毎日三日月だった
スライムみたいなアメーバみたいな
形状不確定な化け物が
 ....
ミズキの花の咲くころとなりました。
山はすっかり初夏の様相で
合間合間に咲く藤が
いかにも淡く
涼しげです。

山がようやく
山らしくなる
今日
こうして筆をとりましたのは
以前あ ....
朝露と見紛うばかり山の藤

赤い傘広げ日を待つハナミズキ

さびしやと俯いて咲く八重桜
柔らかにけぶる
薄紅の桜が散って
山はもう
青一色のパレット

あぜ道の黄が
私の目を焼いて
畑の菜の花は
もう直視に耐えない眩しさだ

圧倒される
やさしさのカケラもない季節
 ....
りんりんりんと
頭蓋の中で
鈴が鳴る
其れが
あんまし
喧しい

仕方がないので
てるてる坊主を
こしらえて
よくよくよォく
言い聞かす

お前にやる鈴は
此処に在る
見 ....
この佳き四月
うららかな休日
外れた唄を
大声で歌う
赤ら顔の親父殿
なるほどあなたは相応しい。

見ろ
空は青い
花は白い
幹は黒い

お前たちは
その疲れたこころの
ほ ....

泣きたくなるのは
哀しいからでは
ありません

部屋に
サカナがいるからです
窒息すまいと
パクパクと口を開け
泳ぐサカナが
いるからです
水を求める
青いサカナが
水を ....
「梅は紅」
「こぶしは白が良い」
と言う
         昨日別れた私の妹


「まだ咲いていないのですよ」
「ごめんなさい」
         道行く人に謝る桜


「植えて ....
手回しオルゴールの上で踊る
少女の足をへし折った
あれは頑是ない狂気です
誰でも一度は
覚えのあるもの

一度は通った道ですので
大人は皆
子供の遊びに寛大です
けれど忘れちゃなりま ....
 TVなんかをみていると、どうも生き物の価値と言うのは、賢さだとか優しさだとか可愛さだとか美しさだとか、そういったものであるらしい。
けれども私の短い生で、今までであった生き物の中、最も尊いと思えた ....
言葉にすれば
背徳だとか禁忌だとか
人類有史以前から
ありふれた、それ。

  長風呂していると
  ぽとり、と汗が落ちました
  それは昨日の
  私のささやかな悪事
  手にした ....
赤い舌をのぞかせながら
君は緑色のケーキを食べる。
ピスタチオのムース。
新作だってと言いながら
君が買ってきた分を
二人で分けて食べてたはずなのに
僕の分はもうない。

赤い舌をのぞ ....
亜樹(241)
タイトル カテゴリ Point 日付
遠吠え自由詩108/6/23 21:31
西の姫星自由詩108/6/22 0:15
いいわけ自由詩008/6/19 21:36
SOS自由詩108/6/15 22:48
無花果の花散文(批評 ...108/6/15 21:57
船乗と星自由詩308/6/13 20:13
愛の行方自由詩108/6/11 0:35
からだいろいろ【ないぞうへん】短歌108/6/5 20:48
くさぬき自由詩208/6/4 23:15
詩人の墓散文(批評 ...5+08/5/31 23:04
シュガーシュガーシュガー自由詩108/5/29 22:59
ボタンと妹自由詩208/5/26 23:13
ひまわり自由詩208/5/22 21:20
ひまわりと白球と自由詩208/5/21 22:59
コインロッカー自由詩508/5/16 22:13
竹の秋俳句108/5/15 22:32
夜中の薔薇自由詩108/5/15 21:23
図書カード自由詩2+08/5/14 22:40
原色スライム自由詩108/5/7 20:31
拝啓自由詩308/5/4 16:15
5月の花俳句008/5/1 21:03
春の日自由詩208/4/21 19:36
りん自由詩108/4/8 23:40
この佳き四月自由詩008/4/7 22:04
自由詩108/3/30 22:34
はるうらら短歌108/3/30 21:23
狂人自由詩108/3/21 11:48
花は桜木と申しますが散文(批評 ...208/3/20 22:49
バスルームの毒自由詩108/3/19 18:53
グリーン・アイズ・モンスター自由詩208/3/17 1:15

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 
0.11sec.