世界のごはん
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少しだけのつもりが
とうとう
未来を飲み干してしまった



すると
なんの音も立てずに忍び寄った

世界が、
きみとぼくだけでできた世界が、
膜を縮めてとらえようとする

届かないとあきらめた空に
今ならば指がふれて
ぼくらのしんこきゅうが雲をゆらす



このままきみと消化されるならいいのに
息が詰まるほど偏ったベクトル群が突き刺さっている
世界がぼくらを食べているよ
ほら 泣きそうになって
さいごまで思い込めたの



現実ということばについては響きさえ好きじゃない
酔っ払って倒れこんだ先が
柔らかくなくてもいいんだよ
腕をひろげて
そう
ぼくら、かっこわるいね





でもいいんだよ
ぼくらはちゃんと知っている
手を繋いで同じ方向を見つめ、ともに歩く慎重さを捨てて
向かい合って視界を狭める危うさをえらんだこと
ぼくの背中はきみに任せたよ

おいで
溶けていこう
髪をなでてあげる
ぼくら、かっこわるいね
よかった





自由詩 世界のごはん Copyright ________ 2008-06-17 23:49:36
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