キョウチクトウ
たもつ


指でなぞる
水の裏側
剥がれていく
記憶のような
古い駅舎
影踏み遊びをしながら
呼吸の合間に
母とひとつずつ
嘘をついた
砂漠に父は
キョウチクトウを
植栽し続け
一面きれいになると
アパートの二階から
落ちていった
あれは瞬き
裏側はどこまでも
瞼のまま


自由詩 キョウチクトウ Copyright たもつ 2008-06-12 17:38:28
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