ホットタイガー
北村 守通

私は
灰色であり
黒であり
白である

そしてまた
私は
紫であり
青であり
赤である


その明確な境界を
私は知らない


『季節へのまなざし』
という詩を歌って
その
色彩の嵐の中で
私の目は
色を認識する力を失ってしまったのかもしれない
『石家荘にて』
という詩を歌って
私の心は
佇む遊女に奪われてしまったままになって
自分の傍らに
誰に居て欲しいのかを
じっくりと塾考する力を失ってしまったのかもしれない
実際
私は遊女を探し
それぞれを
愛し
語らったが
それらは決して
ぴたりと符合することはなく
決して
灰色が
黒になるわけではなかった


私は
中途半端であり
道をまっすぐ進まんとする過程というわけでなく
中途半端であり
創ることに対する
憧れはあれど
さりとて
何を創るべきか
わからず
どう進むべきか
どう努力すべきか
わからず
どう生てゆくべきか
わからず
さりとて
生を終わりにする
決断も
あるいは意志も
選ぶ気になれず
どの仕事に就くべきかも
わからず
無駄に資源を浪費し
無駄に時間を食いつぶし
タイムリミットを換算しつつも
事態を好転させることができないでいる

合唱で
芝居で
文字を描くことで
ルアーを削ることで
フライを巻くことで
釣竿を組み立てることで
創りたかった
創れると信じていた
中途半端であり
為すべきことを
考え
実行を続けないで
さりとて
捨て去ることもできず


未だ
自分が何色なのか
知ることができないでいるのである


自由詩 ホットタイガー Copyright 北村 守通 2008-06-11 01:01:35
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