半そで
木屋 亞万

温かい日と少し寒い日が
入り乱れるようになって
太陽がある間は上着が
邪魔になってくる季節
上着はすぐに荷物になる

そでがあれば心が安らぐ
薄い長そでを着続けたいと思う
いつの間にか腕をさらすのが恐い
布地越しに腕を枕にして眠る
油断し過ぎて痙攣する程に
机は異界へと運ぶ船になる
退屈な授業より想像の空へ
暗い雲の中を上がったり下がったり
やはり荷物が邪魔になる

眠る程に上がる体温が
シャツの背中に異物感を与え
余計な熱が貯まり始める
温暖化の影響がシャツにまで
もう潮時だと判断すれば
明日からは半そでを着よう

ひやりとまだ冷たい風が
脇の辺りを過ぎるだろう
太陽に馴染んでない肌と
色素の抜けてない毛と
所在なげにしている腕を
大袈裟に振り回して遊ぶ
関節はより自由に動く

机に乗って地を離れる午後
汗にべとつく腕を枕にできない
太陽を吸ったタオルを腕に乗せ
また快適に夢をみる
半そでの軽くなった翼で
夏場の机は飛びやすい
太陽に近づき過ぎて
やはり僕は痙攣するんだ


自由詩 半そで Copyright 木屋 亞万 2008-06-09 21:26:23
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