模索する太陽
木屋 亞万

太陽は自信をなくしていた
孤独な夜を思い悩む
自分は何者なのか
本当に太陽のおかげで
朝が訪れているのか
タイミングが同じだけで
自分なんかいなくても
朝になるのではないか

月が世界を暗くして
月が飽きれば朝が来る
太陽は不要ではないのか
元々明るいはずの世界に
功労者の顔で昇るのなら
顔から火が出ることだ
意味のない事はやめて
大地で眠り続けよう

太陽は昇ることをやめ
ようとしたのだけれど
どうも気になったので
顔を出して辺りの様子を
覗いてみることにした
海岸に少女が一人座っていて
安堵したように立ち上がり
こちらに大きく手を振った
いつも太陽の出発を待ち
見守ってくれている少女だ

何の意味もないような
単調な動きをするのが
嫌だったのは一人だったから
孤独だと思っていたから
自分を待ってくれている
少女の存在を思い出して
誰のおかげで朝が来るかは
どうでもよくなった
また彼女に会いたいと思った
太陽は美しさを模索し始めた


自由詩 模索する太陽 Copyright 木屋 亞万 2008-05-31 20:04:32
notebook Home 戻る  過去 未来