天井の言葉
狩心
あなたは指示語を何処に置き忘れてきたのか
こそあど
丸まった眼球一つ
舌の上で転がしている
ベッドの上で
または
恐怖の上で
かじかむ手は
森羅万象の申し子
食い縛る歯は
大地の怒り
ちりちりと舞い落ちる
あなたの抜け毛が
また一人の少年を
ハゲにする
全然行き場もない子供達が溢れている
創造性を抱えたまま
カオスの神に祈りを捧げて
人一人の軟弱
人一人の偶像
軟弱さは絵葉書に書いて
祖国で死んだ両親へと宛てるがいい
墓穴から甦るスケルトンたちが
あなたの脳味噌を食らうだろう
骨の中で噛む音が鳴り
静けさは伴奏となる
裏返る皮膚に
また太い血管と
複雑骨折を起こした神経細胞
または
建築用の廃材で
お化けが住むという廃墟を
再構築する作業
手が地下水に触れて
硬度を計る
それは柔軟に瞬いて
体中を飲み込み
鍾乳洞の内側の壁に
ある種の
古代的な象形文字を描き出す
そこに描かれているものは
人々が動物を狩る時の姿
太陽神に祈る時の生贄
そして血の匂い
オリンピック選手が走り幅跳びで競争したり
画面の中では粗暴ウィルスが蔓延し
ゾンビという非科学的な空想を生み出し
そこで恐怖し
その中でのみ生命を感じ
骨の羽を生やすガーゴイルの群れとなる
わたしたちは日付変更線を越えて
別の国へと奇襲を仕掛ける
無論 あちら側にも家族があり 歌がある
こちら側に子供がいて 死体があるように
逆様の点滴は自らの血を吐き出す
文明に作られた透明の細い管を通って
密林の熱度としての
非可逆的な後悔を生み出す
しかしどの場所においても
小さな花畑は
こそあどを伝える
レンガの中で怯える子供達よ
阿弥陀くじはもう終わりだ
折り曲がった足を切断し
今日に泣く
恐怖となれ