継いで接いで輪
影山影司

 ママの胯座から這い出りゃ、俺ってば幽霊でさ
 くせぇ羊水振り払えば、生き返ると思ったが幽霊でさ
 あんのアホババ、怒鳴り散らしてみても幽霊でさ

 俺は生まれながら死んでたんだよ
 気づきもしない医者は俺を殴る 殴る ぶら下げて 殴る

 泣きそうな眼で見るんじゃない
 そんな顔をするんじゃない


 うぜぇ陶酔振りまいて、生き散らそうと思ったが幽霊でさ

 パパのママとママのパパが合体して
 ロケット精子とベース卵子がドッキング
 思わず悪態をついた単細胞俺に
 神様はお怒りで
「汝、禁固十月十日ト処ース」
 俺は天性の罪人らしいぜ

 揺り籠から墓場まで こりゃ洒落にならん
 ディストピア征く時か さもありなん
 医者はかまわず 叩く 叩く つり下げて 叩く

 泣きそうな眼で見るんじゃない
 そんな顔をするんじゃない

 アンタの腹の中はまんざらじゃなかったぜ

 断ち切る臍の緒
 撒き散る俺の血
 蒼褪める母よ母よ

 今初めて 俺とアンタは他人になったんだ
 悪いのは全部俺なのさ
 まだまだパパと仲良くな
 俺は一足先に二足先に
 化けて出たり 見守ったりしてやんよ

「汝、禁固百年ト処ース」
 俺の体が 大きく息を吸い込んだ
 俺の幽霊が 大きく口に吸い込まれ

 泣きそうな眼で見るんじゃない
 そんな顔をするんじゃない

 俺が代わりに泣くからさ


自由詩 継いで接いで輪 Copyright 影山影司 2008-05-21 00:38:25
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