便所の花 
服部 剛

朗読会の司会を終えて 
ねぐらとなったネットカフェの個室で 
目覚めた朝 
古びたタイルの便所に入る 

鏡の前に 
薄桃色の花柄の 
トイレットペーパーが 
置かれている 

小窓の隙間から吹く風に
千切れた紙の切れ端は 
髪のようになびいて 

中心に空洞の芯は通り 
ずっしりとした 
女のつよさよ 

手を洗い終え 
トイレのドアを開いたら 
何処からかぷうんと 
匂う 

香水の薫り 





自由詩 便所の花  Copyright 服部 剛 2008-05-19 17:44:03
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