ロシアンルーレット
いすず

どうしていつも、こんなになってしまうのだろう
考えてみても、こたえなどでないのに

とりとめなく散らかったこの部屋
買い散らかした モノたち
統率の取れない コトバも思考も
みんなみんな どうにもならないロシアンルーレットみたいに

バアン  あたりならもうおわりにして
バアン  はずれならもういちどやりなおして

いちどだけその引き金をひけば
すべてはおわるのに
それに賭ける勇気すらないの 惨めなバッドルーザー
そんなおわりかたは勇気じゃないってあなたはいう
でもね
どんなおわりなら
ふたりは惨めじゃないの?

こたえなんて、でないのに
こたえなんて、でないのに

考えが煮詰まると、ひとびんのアロマをだして香りをかぐの
あなたの好きなホワイト・ムスクは
最近むしょうに哀しい

あんなふたりじゃなかったのに
あんなふたりじゃなかったのに
時間がむしょうに恋しい

そうして、いつかはおわるときのために
エンドロールを待っているの
もうつぎの恋の予感もしてる
でもね・・・終わらないの、自分のなかで

どうにかできるものなら、とっくにどうにかなってる
どうにかしたいけれど
いつも、どうしてこうなってしまうの

ロシアンルーレットに賭ける勇気もなくて・・・
うそさむい雨風がきょうも窓をたたくの

あなたにつたえたかったひとことを
“今日はいい日だったね
すこしだけ 昔の気分にもどれた
もう 無理しないで・・・わたしも無理しないで生きるよ“

さよならはいわずに
フェードアウトする人生をいつしかえらんでいた
でも、あなたにはちゃんといっておきたかった

“ここまでのふたりだと思います
あなたのことは忘れないよ、いつかまた笑顔で会いましょう
さようなら“

きれいに別れたいといったらうそかもしれない、
でも、お別れはちゃんとしておきたかった

ロシアンルーレットって知ってる?
ああ、あのピストルで一発だけ弾を込めて、頭を打つやつ
あれをしてみたらどうだろうね?
あなたとの恋愛、はじめるか否かで

はじめるときもおわるときも
イメージっておなじとは知らなかったけど
そうした記憶のかけらも 夢遊病のようにうかぶの
重症かもしれない

あなたとのあいだでなくしたくない記憶
そうしたものももっとずっと 色褪せてゆくのかな
これからずっと好きになる人がいたら
どんなふうに感じるのだろう
自分のことも、その誰かのことも

少しまえまで、誰のことも浮かばなかった
ずっとずっとあなたに縛られていた
呪文が少し解けてしまった今は
ホロスコープをみても 自分と友達

こうしてなれあってく時間がすぎるとは思わなかったの
こうして積み重ねるなかで 平凡になってゆくとあなたはいうけれど
女は平凡にはなれない生き物だって読んだことある
わたしもそのひとりかも

そうして、一発の弾が頭に被弾するかしないか決まっても
その結果を自分で納得させられるのかな
決めるのは簡単でも いきかたを変えるのは簡単じゃない

ピストルをかまえて 用意
でも、今はまだ、弾を込められない




自由詩 ロシアンルーレット Copyright いすず 2008-05-06 20:21:44
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