タナバタブルー
くれいじー・こすぎ
アイを愛してしまうようになりたいアツシは
織姫様なんかいるわけがないと思いながら
ふてくされながら毎日必死で生きてきた
電車の中で座り込んでは携帯を眺めて
飲み会の誘いを断っては
スポーツクラブに行くと息巻いて
満たされていない自分を毎日再確認していた
2007年7月7日 午後7時77分
誰の声も届かない個室に座ったアツシ達
最初のとりあえず生を口に運ぶ
扉が開く
1人の女性が10分遅れで到着
薄手のブラウンのワンピースを着たその人はアイと名乗った
アツシは初対面なのに妙に気が合う雰囲気に
徐々にアイと打ち解けたいと願う
距離が縮まっていくのを
ケータイの番号交換
ふたりきりの2次会
一晩限りの混合ダブルス
昼間でしゃべれた夢の対談
実感するに至らなかったら
ここから一生もう逃げる手段は得られない
アツシは涙も出ない苦悩に打ちひしがれた
アイは織姫だったんだよ
アツシは音信不通の現実からバックレるように
出会い系サイトに貯金を注ぎ込む
セブンセブンセブン セブンズタイムイズネバーエンド
アイは病んでて
アツシの事を焼肉のタレのように気にしている
アツシはもっと病んでて
アイの事をごまドレッシングのように常用している
晴れたらスカイブルー
雨が降ればアッシュブルー
夜になったらネイビーブルー
アイがアツシを思い浮かべて
自然と指がうずきだすように
アツシはアイをmixiの良い画像に当てはめながら
アイと一つになれた日のように
オーシャンブルーの空間に一人崩れ落ちる
2007年7月7日 午後7時77分
夢じゃなかった正夢をいつまでも夢にしきれずに
アイとアツシはそれぞれのロードを
一人きりになりきれないまま
スカイブルー
アッシュブルー
ネイビーブルー
オーシャンブルー
いつも細かく変わる青が
どんな時でも綺麗に胸を透かせながら
笑顔を絶やさないように
ペンで社会を描きながら
週に10分だけお喋りしている
自由詩
タナバタブルー
Copyright
くれいじー・こすぎ
2008-05-06 14:32:51