Happy Town
くれいじー・こすぎ

珍しいお酒を飲みに
いつもの2人が手を繋いで
街を闊歩しながら街を華やかにする

乾杯のビールにマカ成分が通常の約2倍入ってた
ウェイターさんが彼にそっと耳打ちを
彼女に聞かれた彼は半笑いしながら
「今日のおれらだけへのサービスやって」
彼女は彼の気遣いに気付いたのか
そっと彼にバレぬよう下着の中に手をやる

街が幸せなイルミネーションをしだした

少し休んで涼もうとベンチに腰掛ける2人
彼がタバコに火を付ける
彼女はレモンティーのフタを開けると
勢いで少しスカートにこぼした
今日は寒いって予報が当たり始めた頃だったのか
一気に雪が降ってきて
傘も忘れた2人は一緒の雪だるまになる

ホテルのドアマンと受付スタッフが
あらかじめガウンを用意してくれていた
すぐに着替えて
暖炉の温もりに綻びながら
シャンパン片手に泡風呂に入る
弾ける2人のテンションと比例して
泡は町中に消えていく

腰振る夜に街はいつも歓迎してくれて
二人が純愛なる行為をする時に限って
ハプニングを用意しては思い出作りに奔走して
毎日初恋気分になれる
2人は手と手で繋がりあえる

街があんまりやさしいから
ホームレスのおじさんにケーキをあげて
シャンパンで乾杯とかしてきて
憲法改正に苦悩してるおじさんも
女性の権利を向上させたいおばさんも
なんだか皆集まってきては
肩を組んでイマジンを歌っていた

明日になればクリスマスツリーは枯れて
サンタのおじさんは長期休暇に入る

ありがとうを百万回唱えた2人は
モヤモヤを全て取り払って見つめ合う
おせち料理の好みが分かれるので
蒲鉾と黒豆は慎重に2種類買う
記念日は毎日毎日少しずつ増えて
明日は何の日かスケジュール帳でチェック

週に何回会ったとか
月に何回お泊りしたとか
どうでもいいことでも
声や体を触る事で安心や不安を繰り返して

喧嘩をしては仲直りして
友達との会話で常にノロけていた
日々も徐々に安定してきて

母校も出身校も環境も
まるっきり違った2人が映し出した
フィルムになりきらない共同作業は
いつしか世界遺産みたいな宝物になった

腰振る夜に街はいつも歓迎してくれて
二人が純愛なる行為をする時に限って
ハプニングを用意しては思い出作りに奔走して
毎日初恋気分になれる
2人は手と手で繋がりあえる


自由詩 Happy Town Copyright くれいじー・こすぎ 2008-05-06 14:30:28
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