家路
はな 


近道して
とおりぬけた石段に
昨日の雪が つもっている

桜に降る
ちいさな雪が
毛布のように 町をくるむ


あなたは
商店街のゆるやかな坂を下り
あおく ひかる
帰り道を探して
いつか
反対ばかり見つけながら歩いた
ほしのない せかい
たばこのひかりを 追っていた


朝焼けが 濃く
ぬらしていく
あなたの背がふいに
とおざかるので


夜を越えて
きょうを いきのびるのら猫は
空に向かってあくびする
なにか つぶやくように


証明はなく
それでも
明けの空に ほしがひとつ 留まり

風が
壊れぬように と
そっと木々をゆらす
だから
家へ

帰ろう
たくさんの 家路を





自由詩 家路 Copyright はな  2008-04-25 22:48:16
notebook Home 戻る  過去 未来