あの鳥は夜を飛ぶ
佐々宝砂

あの光を見るためには
少なく見積もって三昼夜を
眠らずに過ごさねばならない

昼に見れば
赤い眼は赤く
白い冠羽は白く
くっきりと残像を残すのだが
それは光ではなく
単に赤い眼であり
白い冠羽であるのだ

月は泥に落とした乳
街灯りはない
そんな夜には
きっとあの光が見えるだろう
川沿いに並ぶ柳の枝から
柳の枝へ
ゆっくりと視界を横切り

あなたは平民に過ぎない
「勅なれば畏まれ」と
叫ぶ権利をあなたは持たない
あなたよりも位高いあの存在は
胸に鱗を飾り
ぼうと青白く光り

夜を飛ぶ
あの鳥は夜を飛ぶ


自由詩 あの鳥は夜を飛ぶ Copyright 佐々宝砂 2008-03-25 03:18:24
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