エコ人間
ここ

私はベルトコンベアーに乗っていた

高い天井が見える
顔を持ち上げ
ベルトコンベアーの動く先を見ると
何台もの大きな機械が一列に並んでいる

私はなす術も無く
巨大な芋虫に飲み込まれていく
木材のように
細かいチップにされていく
途方にくれていると
中からアームのようなものが伸びてきて
幾つかのチップを回収していく
なんとなく
心が軽くなったようだ
少し浮かれていると
炉に入れられ溶かされる
ドロドロになり
元の自分と瓜二つの形をした型に流し込まれる
型ごと冷却される
36.5℃まで熱が下がると
型から出される
工員に連れられて
少し離れた所にある建物に入っていく

一年間地球の環境について教育を受けた
どうやら私は環境破壊に加担していたらしかった
何事も無かったかのように
私は元の生活に戻った
心の中には
しっかりとエコマークが刻み込まれていた

春の息吹を身体で感じる
こんなに心が穏やかなのはいつ以来か
これから私は
地球の環境にやさしい人生を送っていくのだろう



自由詩 エコ人間 Copyright ここ 2008-03-12 12:36:39
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