さくらさく
或本仲一朗

「詩ってどうやって書けばいいんですか」
「さぁ」



梅雨の時期、早くもさくらが待ちどうしくなる季節
って早って無駄なありがちなセルフツッコむ前に否定するわけでもない



今年の春はいやにたくさんさくらにかけた歌が流行りました。
まぁ感じ方は人それぞれですし、
それもそれなりに良い感じの曲ではあるので
まぁ良いんじゃないですか。

僕には良さが分かりませんが。



こんな雨が降るのに僕は少し離れたあの娘の家に行くのです。
70年代。あの歌の情景。
でも一応傘は持っています。折りたためるやつ。
あまりひどいので失敗だったかもしれないですが、ないよりはマシです。

「君のうちに行かなくちゃ」
そんな義務感だけが僕を進ませる。待たせる。進ませる。
情なのか何なのかもはや分からない末期です。
もっと早く気付いていれば。

本当は気付いていたのかも、

新米。のふりをした古米。
せめて新米のふりをしていたかった。
それでも多分君は面倒がって迎えに来まい。

そんな毎日に慣れてしまう事はあるのでしょうか。
消化?昇華?自分の中に。
っていうかむしろ自分は自分なのでしょうか。
問答するうち何をせずとも今年も消夏。
とりあえず、今日は雨です。

もうすぐ最寄の駅に着きます。



さくらはたくさんありすぎても美しさを損なわせるだけだと思うのです。
独唱・輪唱・合唱その普遍美の前に口にするだけ空虚、合掌。
音量と伝達量は反比例していく。
お前はそんなに偉いんか。



君のために、
僕は
時間を割く。
不安を避く。
下書きを書いては裂く。
考える封じる策。
身代わりのない俺の作。
やり場のない苛立ちと共に
菓子をさくさくさく。

さくさくさく。
さくさくさく。
さくさくさく。

なにもかもサク

さくさくさく。

さき続ければきっと



さくらさく



もさくもさくもさく
もうさくらさく
まだもさくもさくもさく
もっとさくさ
いくらもさくさくらさくさくもんさくさく


自由詩 さくらさく Copyright 或本仲一朗 2004-07-01 04:05:26
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