主婦のmeditation
あすくれかおす
八時から八時半の間
私は無言でテーブルで待っている
あなたの帰りをテーブルで待っている
定時に帰ってくるときあなたは
必ずその時間に帰ってくるから
八時から八時半の間
私はテーブルで瞑想をしている
「瞑想をする主婦」なんて
それだけであな恐ろしいと思うでしょうね
作り老いた手料理の上
白いキッチンペーパーが眠たげにふせっている
あなたは私の主婦ならざる部分を知らない
もしくは 忘れてしまっている
今日だって空が曇ってしまったとき
私は毅然として低気圧に人差し指を突きつけて
あなたに愛を 伝えたのですよ
八時から八時半の間
主婦はあなたの私ならざる部分を想っている
部屋には私 そして冷蔵庫がヴーンと震える音だけ
そういえば あなたに告白したのは私でしたね
そして未だに私はあのとき
あなたが「ヴーン」と唸った
その理由が知りたくて
知りたい気持ちを忘れたくて
部屋で閑かに想っています