一万人にひとりの確率
umineko
一万人にひとりの確率です
ああ
そうですか
ここは100万都市だから
年間にして100人くらい
だから
3日に一度
同じ病名の救急車は走る
一万人にひとりの確率です
そう
私だって告げている
確率は事実であって裏切らないから
ただ
それにあたってしまった
運命とか真実とか
報いとか
ただ
それが君である必要がどこにあるのか
ということを
私は聞いてはいけないのだ
ああ
そうですね
胸ぐらを掻き掴み
はげしく揺さぶって
その確率論の本当の嘘を
高らかに読み上げることもできないで
私は
その白衣の向こうを見ている
8階のビルの窓からは
空は白く無意味で
君のいる部屋の
白い壁と大差ない
一万人にひとりの確率
君に逢えたのは
いったいどんな数学なのか
白い空の
白い壁の
白い窓の
透明な声
私の中で