一万人にひとりの確率
umineko

一万人にひとりの確率です

ああ
そうですか
ここは100万都市だから
年間にして100人くらい
だから
3日に一度
同じ病名の救急車は走る

一万人にひとりの確率です
そう
私だって告げている
確率は事実であって裏切らないから
ただ
それにあたってしまった
運命とか真実とか
報いとか

ただ
それが君である必要がどこにあるのか
ということを
私は聞いてはいけないのだ

ああ
そうですね

胸ぐらを掻き掴み
はげしく揺さぶって
その確率論の本当の嘘を
高らかに読み上げることもできないで

私は
その白衣の向こうを見ている
8階のビルの窓からは
空は白く無意味で

君のいる部屋の
白い壁と大差ない

一万人にひとりの確率
君に逢えたのは
いったいどんな数学なのか

白い空の
白い壁の
白い窓の

透明な声


私の中で




自由詩 一万人にひとりの確率 Copyright umineko 2004-06-26 02:23:31
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