縫い針
千波 一也



ひとが
つとめて
恥じらえるよう、

糸はほつれに優れています



こころ
こまやかに
誰もが夜を縫いかねて

きらめく星に
焦がれてしまう


かばい合う布として
擦り切れやすさを離れていかず、

思い
思いに
火と水は



すべからく
かよわきことがはじまりです


原罪の果て
どこにも咲かない救いのために
うまれて喜ぶいたみを綴り、

声はつむぎます
途切れ、そのものを



針の
ほそさが
染みわたるよう、

ひとは逆らい棲むのでしょう



澄みゆくやみの
鮮やかさ

もっともきれいなあざむきに












自由詩 縫い針 Copyright 千波 一也 2008-02-08 21:24:36
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