こときり
RT


ちががね、

(血がね、といいたいのだ)

ちががね、びよきだからね
あかちゃんのときからね
そうなの、ずっと

少女は枕に片頬つけて話す
ぼくは少女の枕に腰掛けている

ちょこんと、

少女は最初にそういった

ちょこんと、すわってるね
そういった

それからぼくはちょこんと座りに来る
まいにち
まいにち

ぽたぽた
点滴の
ぴかぴか
電極の

白い天井の
白い壁の
白いカーテンの
まいにちに

ぼくはちょこんと座りにくる
少女のやわらかい枕に
まいにち
まいにち

ぼくをすきだという
かわいいと
わらう
ぼくはこのおしごとを
よかったと思う
すこしは

でも今夜は最後のおつとめ
少女が眠るのを待って

眠るのを待って
永遠の眠りへ連れて行く


おやすみ、こときり


少女はそう、わらった




自由詩 こときり Copyright RT 2004-06-25 00:53:24
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