賢い魚
亜樹

金魚鉢の中で
赤い魚は
悠々と泳ぐ

赤い魚は
そのまァるい
硝子の中で
壁にぶつかる
真似もしないで
悠々と泳ぐ

赤い魚は
立ち止まって
私のほうを
じっと見ながら
パクパクと
口を開く

その口からは
あぶくがあがる
彼の世界に
よく似た薄い膜
銀色に光る
丸いあぶくは
あがってはじける

赤い魚は
見失わない
自分が呼吸をしていることを
自分が生きていることを


自由詩 賢い魚 Copyright 亜樹 2008-01-25 01:34:20
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