この間
おかあさんは
50歳になりました。

50歳と言うと
おばあさんです。
電車で席とか譲られます。

私も20歳になりました。
20歳と言うと
大人です。
一人でバスにも乗 ....
昨日の春に殺された小鳥が
庭先に落ちていた。

ばかだねぇおまえ
気まぐれなのが
春なのに

冬の冷気をまとって
凍りついた小鳥の目が
ぴくりと動く
それでも春がすきなのだと
そ ....
薄汚れた茶色の天井と
古い紙の匂いと
真新しい本の匂い
部屋の中心のストーブの上
やかんがシュンシュンと音を立てる
そのお湯で淹れられたコーヒーの匂いは
そのまま壁に染み付いて
また新し ....
 定子がこの山間の小学校の臨時講師をするようになって、半年が過ぎた。いまだ戸惑うことが多い。それはけして近年盛んに報道されるような子供の素行についてや、モンスターペアレンツなどと呼ばれる極度に過保護な .... わたくしは 一匹の くじらです。
くじらは 一匹 ニ匹と 数えるのぢゃァないなどと
つまらないことは 云はないでください。

わたくしは とても 小さなくじらです。
ですから 一匹で よいの ....
小説や漫画、テレビの中で
世界を救う、君。
14歳の君。
どういうわけだか、
いつだって14歳の君。

なんだって出来ると
なんにでもなれると
傲慢なほどの自信と確信をもって
どこま ....
青色を知らない子供になんと言お?海の色はと聞かれたときに

結局はさかなの名だと君は言うアイという音コイという音

朱鷺色に染まった爪に憧れる10年経っても子どもは子ども




{ ....
橋の下に
鯨がいる。
ぬっめりとした皮膚が
ゆっくりと波うった。

大きな鯨は
泳いでいる。
きらきらと
目がひかる。
いくつもあるそれは
同じ方に
向かって流れた。


 ....
「あの海は何色ですか」
 
 「鉛色」
   「かもめの羽のような色です」



「あの空は何色ですか」

 「真珠色」
   「冷たい霧を重ねた色です」
「ソフトバンクに変えたんよ」
と、最近高校時の友達からわりと頻繁に電話が来る。
「だってただだし」
と、電話口で笑う男は、私が数年越しで彼に片思いしていることをしらない。


夕べも電話が ....
小さな泡が
ぷつぷつと
うかぶ
クリームソーダが
好きだった時期がある。

けれど実際
私は炭酸が少し苦手で
いかにも人工的な緑色も
エイリアンのようで嫌だった。

だというのに ....
父はいつも嘘ばかりついていた。

山の墓の横に開いた穴の下には死体があるとか。
ハチは一回人を刺すと死んでしまうとか。
私は実は赤い橋の下から拾ってきた子供だとか。

いつもそんなことばか ....
天気予報明日は寒くなると言う庭に豆まき戻ったあとで

不幸なのか幸せなのかを悩み出す気になる人のいる二月

白雪を見ぬままかおる梅の花故郷の山は今日も真白ぞ
都会の空に降る雪は
灰に似ている

熱かったものが冷めたあとは
元から冷たかったものとは
比べようもないほど
さみしい

なんにでもなれたんだと思う
(大人が入れるほどのかまくらをこ ....
『近所から鳴き声が煩いと苦情が来た。さて、この場合学校で飼っていた鶏はどうするべきか』
そんな命題がしばしば出される。
倫理観だとか教育的配慮だとか、そんなものをこねくりあわせた結果、よく導き出さ ....
『若いということにはそれだけで価値がある』
『たとえそれが目減りするだけの財産だとしても』

そういった彼女の小指のつめは
鮮やかな朱鷺色をしていた
赤ではなく
紫でもなく
朱鷺色、とし ....
ザアザアと雨が降つておりました。
ゴンと居間の時計が十参度鳴り響きます。
その家の主人は、ごろりと横になり、なにやら難しげな洋書を読むでもなく、つらつらと眺めておりました。
――今日はお出かけに ....
金魚鉢の中で
赤い魚は
悠々と泳ぐ

赤い魚は
そのまァるい
硝子の中で
壁にぶつかる
真似もしないで
悠々と泳ぐ

赤い魚は
立ち止まって
私のほうを
じっと見ながら
 ....
コイとはなんですか?

さかなの名前です。
人工的につくられた
赤いまだらのうつくしい
金銭と引き換えに
取引されていけの中
間抜けな顔で
麩を食べます。

アイとはなんですか?
 ....
えいえん
ということばを
舌さきでころがす。
それはきっと
赤道直下に
ふる雪の
たよりない感触に
にている。

 首をのばして
 のぞくキリンが
 ながいまつげを
 ふるわせ ....
なっぱ飯塩気の足らぬ一人飯

冷麦も喉を通らぬ一人飯

魯山人忌砂噛むに似る一人飯
せりなずなもはや野山で得れぬものあかぎれ知らぬ手の買う七草

母の言うごぎょうはこべら忘れればいっそ帰れよ病で家に

白がゆで満ちる鍋こそほとけのざ黄色の匙で母から子へと

いぢわるをする ....
ひらり、と
スカートがひるがえる
木枯らしだろうが
春一番だろうが
関係なく
吹く風にあわせ
ひらひらと、揺れる

その頼りなさが苦手だった
ひらひらと、揺れる
その頼りなさでは
 ....
ひもじさで己の足を喰ふ蛸を真似て己の爪を食む夜

霊長類以外は死なねばできません死んださかなの目といふものは

二枚貝裏と表は同じ顔見習いなさひ二枚舌の君

一〇五円で買える二匹の命かな二 ....
鍋の底残った蟹の赤い足

今年も灯るあの子の家のイルミネーション

猫行司コタツの土俵で足相撲
女一人二十過ぐれば寂しくもありケーキに増えるロウソクの数

父親が母と婚約した年にとうとう追いつく二十二の冬
「お母さんは私よりもあんたのが可愛いのよ」

今年で25になる姉から、こんなメールが届いた。
あまりにひどい頭痛がしたので、返事をしないまま放置して、2週間になる。
そのまま、姉からは何の音沙 ....
巨大な広告塔に
爆撃機が突っ込んだ
操縦士の歌う世界平和を
ゴッホが描いた糸杉で
羽を休める鴉が嗤うよ
{引用=(Jesus Christ!)}

太陽の色が白か黄色かで
いい大人がも ....
ふかいくらい うみのなか
ほそながい 魚がおよぐ
はがれおちた うすいうろこが
キラキラと かがやきながら
底のほうへと おちてゆく

目をつむると ズブズブと
体がしずんで しまうので ....
あの星は燃えています
もう随分昔から
赤々と燃えています

燃え出す前は
誰かが住んでいたやもしれません
白いお城が建っていたやもしれません
王様が口をへの字に曲げて
エメラルドの杖を ....
亜樹(241)
タイトル カテゴリ Point 日付
おかあさん自由詩3+*08/3/15 2:00
3月のジェノサイド自由詩208/3/14 21:36
かわく蕾自由詩208/3/14 16:21
春を告げる散文(批評 ...2+*08/3/9 1:50
くじら自由詩108/2/29 3:42
14歳自由詩208/2/27 23:25
変換遊び2短歌308/2/23 14:07
夜の海自由詩308/2/21 23:34
色々色短歌708/2/20 3:19
0円散文(批評 ...4+08/2/18 2:16
クリームソーダ自由詩108/2/17 23:16
うそをつく人散文(批評 ...4+08/2/17 23:05
きさらぎにがつ短歌008/2/13 0:23
都会の雪自由詩3*08/2/10 23:54
いただきます散文(批評 ...1+08/2/10 21:08
朱鷺色自由詩208/2/8 23:08
てるてるぼうず散文(批評 ...0*08/2/3 14:14
賢い魚自由詩208/1/25 1:34
さかなの名自由詩108/1/17 14:07
スノードロップ自由詩308/1/17 2:38
一人飯俳句1*08/1/10 0:27
これぞななくさ短歌008/1/7 23:09
スカート自由詩507/12/22 20:41
さかなのきもち短歌207/12/17 1:32
ぬくい冬俳句007/12/15 1:18
誕生日だったのです短歌107/12/15 1:12
姉という生き物散文(批評 ...307/12/11 23:42
ぬりえ遊び自由詩007/12/9 20:18
夜の魚自由詩007/12/7 15:41
赤い星自由詩107/11/24 23:26

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