断片集「追水」
簑田伶子
一.
舞いそこねた息が
蜜擦れしている
まつげのながさは
わたしたちのいのち
二.
等分できないものをささえる
ゆいいつの幕間
背泳される 水は
つめたいだろう
くちづけにくちびるが障る
絶世
三.
スキップが下手
の裏の
やさしくするよ
マーガリンの心臓をくゆらせて遊ぶ
四.
無数のすきまに詰めるための話される話
シーソーを漕ぐ、公園の
さみしさが
宇宙
なつかしい発声の
アパートメント
五.
(後れ毛のやわらかさで船は壊れたから)
自然光に網羅された
からだを交換すると
ひとつになるなんて
救いのない事を言う
六.
夫婦
ピアノは弾けないレの指
喝采に似た生活はやむ