ホームセンター
たもつ



君はただひたすらに自動券売機をつくっている
外、春はとっくに酸化してしまった
困るね、こんな雨の日は
花壇に水をあげることもできない
僕の手の中で冷たくなっている冷蔵庫
その扉を開けると中から
かつてモノだったモノたちが加速度もなく溢れ出してくる

あの日、乗り物は僕らを置いて発車した
工具売り場の細い路地で迷子になっている間に
たくさんの行列と行列と行列
走り抜けて息を切らし言葉をいくつか失ったのだ
両手で耳を塞ぐ
それくらいのことしか出来なかった

雨に含まれる使われなくなった生き物のネジが
コツコツと窓ガラスを鳴らしている
ただひたすらに自動券売機をつくっている君の額から
汗がまた落ちる
一生懸命な君の横顔とそれを見ている僕
多分、これからもそう
何か足りないものがあったので
僕らは買い物にでかける







自由詩 ホームセンター Copyright たもつ 2004-06-22 08:52:50
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