貝
蒼木りん
たったひとつの貝殻みつけた
淡い桃色の
虹色の透明の
海風が
ぬるい愛を溜息にして
一筋の髪をゆらす
貴方が
桜貝だと言った
私のではない手をとり
微笑みながら
嘘の砂浜を
二つの足跡延々
寄せる言葉
耳を目を塞ぐほど
引いてゆく言葉
つなぎ止めない
幻は浅い夢
嘘は願望
桜貝はいつか砕けて
貴方を捨てるから
たったひとつを
私に見せて
海の底にある
貴方の堅く閉じた真珠貝
自由詩
貝
Copyright
蒼木りん
2004-06-18 22:41:28