邂逅
宇宙

氷山を溶かす煩悩を
慈悲の仮面で覆い隠し
夕陽を追いかけて跳ぶ

紫水晶の天壌が憑依し
摩天楼の熱帯雨林でゲリラする日常は
深海に眠るシーラカンスに飲み込まれ
百五十億年の記憶を曼荼羅に描く

フィルムは空回りを繰り返し
スクリーンには七色のノイズが踊り
はじまりの向こう側を識ることはできない

行き場のない夜の螺旋階段に躓く
胃袋に流し込むはずだった溶岩を
紙袋一杯に詰め込み
エルサレムの壁に投げつける

揺れ惑う蝋燭の火の先で薬指を焼き
スニーカーを寝室の窓から解き放つ
渇いた欲望が蓮の花を黒く焦がす

玄関の扉を微笑が開く
独裁者による破壊と略奪の祝祭
アガスティアの葉はすべて沙漠に沈黙する

断絶の鐘が三百二十四回吠えた夜
印度の神々からの電話が優しく月に歌う

いつかすべてが愛しく感じられるまで君と歩いてゆく
いつかすべてを等しく感じられるまで君と歩いてゆく


自由詩 邂逅 Copyright 宇宙 2007-12-07 03:48:43
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