ここへは戻らない三百六十五の理由
たりぽん(大理 奔)

あの頃に戻れるとして
(時計の針が逆に回ったとしても)

ここから
あの頃に戻る旅程に費やすものと
これから先に進む時間とは
夕焼けの回数ぐらいしか
違いはないのです

つまり
生まれた、のではなく
生まれてきた私たちは
生きている、のではなく
生きるということ

だから
ここへはもどらないでしょう
今日のおやすみなさいを
また明日、言うために

どんな
つまらない生き方
、と言われようとも
選び取って進んだ旅程を
虚構とはだれも言わないでしょう

カレンダーをちぎってばらまくように
ちりぢりになって
お城の堀に消えていった
時の花びらたちが
あの頃、なんて時を知らないように

それが
理由なのです
ここへは戻らないでしょう
(時計の針が逆に回ったとしても)
明日に、明後日に
あなたを
連れて行くから





自由詩 ここへは戻らない三百六十五の理由 Copyright たりぽん(大理 奔) 2007-11-11 00:48:53
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