河口
たりぽん(大理 奔)

川の終わる場所で
雨が止むときの風が吹く
旅が終わろうとしている
ちょっと長めの草を引き抜いて
ひらひらと振り回しながら
流れの方向に土手を歩いて
遠い雷鳴にも耳を澄ませる
波は流れ出ようとする川を
押し戻そうともがいている

   最後の雨粒の軌跡を
   雲の設計図に予想してみる
   灯台の方向だ
   あそこに落下すれば

そこで終わろうか
いくつもの暗い淵や
明るくきらめく瀬を越えて
流れ着く場所はいつも
全てを溶かし込んで
受け入れながら
拒んでいる


鳥であれば良かった
海の向こうのもっと果てへ
綺麗な放物線を描いたり
星の設計図も
手に入れられたのに

   流れ込み溶け込むそのときに
   あぶくの向こうに振り返る
   故郷の白銀!
   冷たく尖った
   あの高みで生まれ
   生ぬるく塩辛い
   もがきの中で僕はそっと
   その旅を終えるために



自由詩 河口 Copyright たりぽん(大理 奔) 2007-10-27 12:04:59
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