螢のように、そして
たりぽん(大理 奔)

両手で水をすくうように
反射鏡は映し出すけれど
のぞき込むたびに奥歯で噛む
這いつくばって
いいわけ、うつむき加減に

   明るい星空の下に
   私の居場所はないのです

車窓に流れるネオンも
街灯の連れ戻す
まばらな真昼も
影をあらわにするから

   暗闇はどこにありますか

あの遠い場所は
星図の上で身勝手な座標と
意味不明な記号で飾られ
蒔絵に書かれた
万華鏡の設計図でしょう

   あるいはどんな場所の名でもなく

あなたの笑顔を探すのは
どしゃ降りの中で明日の青空を
待つ事ではないのです
この目に映る全ての明滅から
探すことでもないのです

   全ての距離に届かない
   歩道の隅で水溜まりを踏みながら
   手の中で我が身を焦がす
   生き物ではない
   このホタル



自由詩 螢のように、そして Copyright たりぽん(大理 奔) 2007-10-20 18:13:36
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