乳児院
あおば

                 071003





乳児院が廃院となって
ガレージセールで売られてる
買う予定のない人も
子供付きならばと
好奇の目をして立ち寄って
ガレージの床は泥だらけ
歩く度に
土埃が舞い上がり
息が詰まるので
雨が降るのが待ち遠しくて
こうもり傘の張り替えと
大きな声で叫んでみたが
誰も振り返らない
シャッターが降りた商店街の
外れに
ぽっかり空いた地面は
行き場のないクルマの
退屈な溜まり場と



動こうともしない
そのうち
バッテリーも上がり
サルフェーションを起こし
回復不能となり
動くことも
走ることも出来なくなって
撤去困難
いつかは腐ってしまう
不在の地主は管理を忘れ
不法占拠されているのも知らないで
遊びほうけている

この辺には
キツネも狸も住んで無いから
夜になっても
化かされる心配はないので
安心してしまい
気の良い人が増えすぎて
町は活気を失って
廃墟になるのを
いまかいまかと
待ち続けている











自由詩 乳児院 Copyright あおば 2007-10-03 19:05:34
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