光線
チグトセ

まどろみながら
僕が見失っていたのは帰る場所だった
それとも
もしかしたら行き先だったかもしれない

目に見えるものの手触りを確かめて
それをどう思えばいいのかを確かめていた
孤独な色だった



目に映る、
この場所
処理場に突き立ったクレーンの軸と
刑務所の長い直線に区切られたこの場所は
台風の目のように穏やかすぎる空洞だった
そうして
僕はいったい今何をしているのか
と聞き飽きた自問をすれば
こうやってただ空き缶をぶら下げて
孤独なアーティファクトの行列を
眺めているに過ぎない
ここにある
この心臓に灯った心許ない光は
今にも
今すぐにでも消えそうだというのに
一瞬にして明暗を逆転させ
やってきた光で
僕の目は、たやすくくらんだ


この光と一緒に溶けてなくなってしまいたい
あとには何ものこさず
今しがた
不安の消滅を願って叫んだこの言葉
もろとも









自由詩 光線 Copyright チグトセ 2007-09-20 21:49:02
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