うどん二百円から
あおば

   


虹を見せて人集めして
一山あてようと
考えて
みた

山師は鉱脈を探すのが本職だが
人件費の高い日本国では
金脈意外は採算ベースに乗りにくく
海に出て
石油探索するくらいしか道がない

山歩きは馴れているが
  船の上から
  各種レーダー
  ソナーになにやらの
  電磁探索繰り返す屈強な作業員
  日に焼けて見た目は海の男だが
  漁師ではない
  山師の転職でもなさそうで
勝手が違う

どうにかなるさと
キタキツネの缶詰を懐に
思い切って船に乗る

海の上には
屋台も無くて
あったかい200円の饂飩は売ってないから
寒い夜も
即席麺に湯をかけて
虚ろな目をして啜るのだ

せめて
烏賊そーめん
食いたいと
金隠しの上の
灰皿に押し込まれた
誰かの指紋が刻まれた
カチカチのフーセンガム
ピンクのチラシも懐かしい
電話ボックス前の縦列

その10年後
山からカラスが飛んできて
都庁の高層ビルにぶつかって
気絶して
墜落
三面記事にも載らない後始末は
清掃員のパートの奥様にしてもらった。


<まとめ>

山から
カラスが
饂飩を食べに飛んで来て
どうしても果たせなかった

衝突して意識を失う最後の瞬間には
美しい虹を見たかもしれません。






過去作
初出
「丑屋T子の北極ツアー」の
→【詩人さんに贈る 書けないお題20】




自由詩 うどん二百円から Copyright あおば 2007-09-08 09:42:45
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