廃墟ロケット
霜天
ごうごうと響かせる飛行機と
大小不揃いの草むらの間
用途不明の建物が
誰かに忘れられてそこに居た
穴だらけの屋根はもう屋根じゃなく
その上でロケットみたいな煙突が出っ張っていて
いつか どどどどって音を立てながら
空へ上っていくんだと
用途不明な鉄のおばけの隙間
数分おきに飛び立つ飛行機を眺めながら
宇宙飛行士の気分で
青い地球を想像したりした
僕はずいぶんと密度が薄くなったみたいだ
あの日持ち寄った夢の数を覚えているだろうか
通り掛った草むらにロケットはなく
ごうごうと響かせる飛行機は相変わらず数分おきのリズムで
ぽっかりと開いたその隙間には
ざあっと風が過ぎるだけ
あの頃の
密度の濃い僕等を乗せて
色のはがれた廃墟ロケット
どどどどっと音を立てながら
今はどの空を飛んでいますか