廃墟ロケット
霜天

ごうごうと響かせる飛行機と
大小不揃いの草むらの間
用途不明の建物が
誰かに忘れられてそこに居た

穴だらけの屋根はもう屋根じゃなく
その上でロケットみたいな煙突が出っ張っていて
いつか どどどどって音を立てながら
空へ上っていくんだと
用途不明な鉄のおばけの隙間
数分おきに飛び立つ飛行機を眺めながら
宇宙飛行士の気分で
青い地球を想像したりした


僕はずいぶんと密度が薄くなったみたいだ
あの日持ち寄った夢の数を覚えているだろうか


通り掛った草むらにロケットはなく
ごうごうと響かせる飛行機は相変わらず数分おきのリズムで
ぽっかりと開いたその隙間には
ざあっと風が過ぎるだけ


あの頃の
密度の濃い僕等を乗せて
色のはがれた廃墟ロケット
どどどどっと音を立てながら

今はどの空を飛んでいますか


自由詩 廃墟ロケット Copyright 霜天 2004-05-26 02:03:56
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