ノート(指)
木立 悟


光したたる場所に立ち
足元にまとわりつく魚を見ている
緑が照らす灰の息
耳のすぐそばにいる雨雲



肩に沿って
光はこぼれ
水に落ちて
声に変わる
たどりつけ
たどりつくな
とどこおれ
とどこおるな



彩りに至らず
はぐれ迷う火
見つめる瞳
見果てぬ瞳



泥と緑の骨を映した
水たまりのかたちをなぞる指
失くした月を捜して歩む
夜の終わりへ向かう道



汚れた腕に光は散って
指に小さく降りつもる
水から水へわたる雷鳴
魚が去ってゆく方へ
降りてくる蒼い夜の柱に
指はいくつも月を描く
声と水のしるしを描く







自由詩 ノート(指) Copyright 木立 悟 2004-05-25 21:48:35
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