八月の砂
及川三貴

焼かれた瞼
太陽の中に
見える 砂
砂を咬む足 
地に落ちて
光の拡がり
あの同心円の天蓋
剥がれる皮膚
純粋な炎の
聴こえない 名前


その一粒が波紋の様に
音に還って 拡がる

光の 燃える 人の
影の祈り
あの同心円の天蓋

息を呑んで
華のように灰のように
ひらひらと宙を横切った
幾万の蝶が
その朝
舞ったでしょう

押し上げ 仰いで
雨が降る
あの同心円の天蓋から
黒い雨が降る


自由詩 八月の砂 Copyright 及川三貴 2007-08-10 23:41:03
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