静かな夜
及川三貴


夜の冷たい川沿いに
軽やかな秒針の音
寝静まる畦道の空想
蟋蟀数えて更ける

誰か の物思い と

雨が降って大気を導き
水待つ蛙の物憂げ
風の鳴る音 戸を叩き
葉裏にとまる蝶の黙想
草踏む靴底 湿りを帯びて
青々とする匂いを
舌の上転がして俯く
吐息数えて更ける

わたし の片思い と




自由詩 静かな夜 Copyright 及川三貴 2007-08-06 23:45:52
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