母を追いかける
暗闇れもん

いつまでたっても治らない
あきらめて期待してを繰り返し
いつのまにか悲しみさえもいつものことになった

がんばれないと母が言う
もうだめと家を飛び出していく
残されていくわたしといもうと

死にたいと母からの電話
帰りを待っていつのまにか日がのぼる

父がやりきれない思いを口にする
悲しみ、怒り、あきらめ
そして深い悲しみ

誰も救えない
問題はどこにある

母の中よ

人間が壊れていくのが一番怖い

昔の母が頭をよぎり
頭の中で否定を繰り返す
自分を守るためのすべ

たいしたことのないふりをして
壊れた母を追いかける

帰りなさいという声で
母を見てもぼんやりと魚の目をしていた

追いかける
母の声が届かない距離で
母を見失わない距離で

努力ってなに
がんばるってなに
強い子ってなに

わたしも母もただ生きているだけだ

追い続けながらわたしは母から逃げそうになる







自由詩 母を追いかける Copyright 暗闇れもん 2007-08-10 20:10:46
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