みんなを呼ぶ雨雲のこえ
月見里司

でんしゃだった
ぼう、ぼう、と
隊列つくって
歩く目があわれと
気づいてしまった、
僕は

時よ止まれ、と
つぶやいて映すガラスのうすぐらい
鏡像が
伸ばした手/

 /こちら側のほうが明るい
  ずっとずっと明るいから
  君のすがたは透けている

えいえんの車窓を見やる
敷かれたレールを
少し踏み越えたくらいの
ところに、
僕は立っている
沈黙を守るはずだった
グレーの雨雲

露か霧かに濡れた
一本だけのはるじょおん
みすぼらしい白
粉っぽい黄色と
褪せた緑
三つ編みのような立ちすがたで

見つめるような
水の匂いが
水の匂いが
しては来ないだろうか

雨雲
肩をたたき
今度ははっきりと、
水の匂い


//2007年4月20日


自由詩 みんなを呼ぶ雨雲のこえ Copyright 月見里司 2007-07-26 13:31:16
notebook Home 戻る  過去 未来