或風景
深散

みな踊る
雨のなか
呼声
応えて倒れる
白い土
赤い空
落ちてくる夢
滑車が勢い込んで海辺にすべる
ああ、またこの場所
既視感は嘘でなく
本当にみた
いつでも氷とともに
惹かれてただついて歩く
血がにじみ
やがて弾ける
死んだものばかりが笑う
夕暮れが黄色く
まだ初夏間もないのに
雀が誘う
色が変わる明け方の頃
ちりばめ終えて死んでいくひかり
差し込まれた鋼色の板
しゅっと威勢良く
重々しくぼたぼた落ちる
しんでいく
死んでたちまち黒くなる
酸素が多いんだ、酸素が
錆びてしまった流れていたもの
紙にしみこむ薄いもの
はじかれて飛沫く濃いもの
舐めて苦い
断ち切られた生命
断ち切れなかった生命
怒り
焦り
許せない己
回収されて吠え立てるひかり
こっちへ来いと叫びわめく陽
面倒だ
もうお前に暖められる背中が欲しくない
そんな資格もない
死を覚悟したつもりで
ただ安心した空けもの
無駄だったものの骸
また月が昇る、白い


自由詩 或風景 Copyright 深散 2007-07-11 15:37:36
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