デュランタのくちびるから言葉はうまれない
藤原有絵

僕たちは
自己愛が強いのか
愛情過多なのか

つまり
屈折していて
言葉を介して
真っすぐ伝え合う事が出来ない


濡れそぼるデュランタの儚さは
強さをもたないわけではないのよ


一房折って
雫を拭って
一輪挿しに飾る君が

僕を責めているわけではないとわかるのに
僕は攻撃的な言葉を発してしまう

キラキラ光る
ミネラルウォーターのペットボトルに口をつけ
君はゆっくりと少しだけ唇を濡らす

次の言葉を選ぶ為に長考するのか


夏の初めに咲く紫の花が
いつも君を少し元気にする事を知っている

その愛情は透過して
どこか違う方向へ向けられている

これを知るのは
もっと
もっと
先の事

君のシグナル


紫の花は
夏が来ると
僕の部屋に飾られる





自由詩 デュランタのくちびるから言葉はうまれない Copyright 藤原有絵 2007-06-25 00:15:02
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