腹葬
黒川排除 (oldsoup)

にんげんとして それ以上ににんげんとして やるべきことがもっと他にあったと思う が衝動的 におびえながら も強く唇を噛んで 腐った木の実のかろうじて付いている枝を抱えて 地震の直後のようだ 焼け野原に足も手もすくんでいる と呟きながら引き返す とそこには小さな生き物 が無理矢理に佇んでいて 錆びたねじをかじりながら ことの成り行きを明白にする

つまり人々は絶望にうちふるえて つまり人々は上手に張り付いていて つまり人々は悲しく吹かれていて みのむしのようにただみのむしのようなんだ 枯らすことに長けていて 埋めることをひどく好む 幾千年もつまらないを繰り返し繰り返し ただの一回もつまりえるものをつまらせたことのない形だ そんなもののなかでさらに落ちこぼれるとは 素質があるということで 銀の池のようなこころの平静を どうか永遠に保っていたまえ

欺瞞 消極的情緒 が強く締め付けるもの をゆだねるからだ は細くしなっていて それでも 根付いた足が摂取する養分は 分泌されるものより少ない からだ 少ないからだ 少ないからすべて失った

わたしは昔強かった 今は滅法弱い 支配していたわたしは 今完全に支配されている 規律されている 骨組まれている が故に乏しく が故に求めている 能力と呼ばれていたものは太陽とともに沈んで わたしも沈もうとした だが土は固く あまつさえ掘ってみれば板のようなものにぶち当たった 画板 幼少の頃に描いた絵 描きかけた絵だ 空白な部分に何かを塗る余白は無い 形容ではなく実に鮮やかにわたしの顔に塗られた泥 の鮮やかさが待つ太陽が巡ってくる 周期をわたしは知らない 知らない部分が呼び起こす 禁断の腹葬に語気を高めながら 白雪姫には上手に盛った毒を わたしには素手で舐めさせるのか


自由詩 腹葬 Copyright 黒川排除 (oldsoup) 2004-05-14 02:20:37
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