変らない雲
赤月 要
変わらない、と
思っていたのは〈雲〉でした
大切にしていた「かたち」は
吐息ほどの微風で
変わってしまう程度のもの
アドレナリンが放出すれば
入道雲のように
高くそびえ立ち
絶望すれば
川を氾濫させるほど
雨を降らすものでした
《昔はこんなに綺麗な色だった》
宇宙の蒼と綿菓子色の白
のコントラストが
天から裾野にかけて
まるでラピュタのように
でもそれは
消えかけたセピアの写真に
残るだけじゃあないか
変わらない、と思っていたのは
私だけ
永久を望んだのもたぶん
私だけ
真っ青な空には
あの日の雲なんて
もう何処にもなかった
自由詩
変らない雲
Copyright
赤月 要
2007-06-10 21:16:52