「東京」 (地下鉄のホームで)
ベンジャミン


下町に生まれてから
高いビルに憧れていた
今になって見上げる景色は
華やいでいるのに
どこか淋しい

地方に引っ越して
久しぶりに来た東京

夜の地下鉄の
長い階段をおりてゆくと
鉄のレールはまるで
過去と未来をつなぐように
真っすぐにのびている

地下鉄の薄暗いホームの上で
僕は今という駅に佇む

どこか懐かしい風に吹かれながら
かすかな記憶を抱いて
明日へと運ばれるのを待っている

「帰る場所がある」
そのことに安心しながら



     


自由詩 「東京」 (地下鉄のホームで) Copyright ベンジャミン 2007-06-10 07:55:39
notebook Home 戻る  過去 未来