メダカ
yo-yo

サチ子先生は
理科室でメダカを飼っている
先生の白くて細い指が水槽に触れると
メダカは狂喜して泳ぐ


メダカは十六ぴきいる
一ぴきずつに名前をつけたいの
クラスのみんなの
と先生は言う


サチ子先生には
メダカの顔がわかるのだろうか
ぼくはあまり手をあげないし声も小さい
きっとメダカよりも目立たない


いつかの川で
メダカと泳いでる夢をみた
みんなぼくよりも体がでかい
胸に名札をつけている
ぼくだけが名札よりも小さかった


先生がいないとき
そっとメダカの水槽をのぞく
メダカは水を引っかくように泳いでいる
小さいくせに目ばかり大きい
どれもこれも
サチ子先生に似ている






自由詩 メダカ Copyright yo-yo 2007-06-08 06:47:30
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