二〇〇三年一二月十五日②
板谷みきょう

彼はサックス吹きだった。

誰にでも噛み付きそうな
いかつい面持ちで
疑問には、
とことん言及することを楽しんでいた

そうして四十三年で生涯を閉じたのだ

無印良品の三つで1パックのカレー弁当の話

安いことでも有名らしいんだけど
「無印良品」って知ってる?
北海道にも売ってるのかは解らないけど…
突然、カレーが食べたくなって
スーパーに行ったら三つで1パックのが売ってたのさ。
「無印良品」で。
まず、ネーミングに惹かれちゃったよ。
シンプルでキャッチーじゃない?
でね、その頃、丁度金も無くってさ
安かったのもあって買ったのね。

帰ってから早速一つ食べてみたら
不味いのなんのって。

「無印」は良いとしても
これって
絶対「良品」じゃないって思ったら
無性に腹が立ってきてね…
だってさ、「良品」と書いてあるんだよ。
絶対におかしいでしょっ。

だからさ。
レシート持ってスーパーに行ったのさ。
返品しに

店の店員ときたら
開封してるから返品できないって言うのさ。

だって食べてみないと解らないじゃないか。
開封しないで味を確認できますか?
ってね。
暫く埒の明かない問答を繰り返してたら
店員が
少々、お待ち下さい。って言うから
やっと、返品できると思ったらさ。
そうしたら
その店員の上司か店長みたいなのが出てきて
また、同じことの繰り返しになっちゃってさ。

結局、返品できなかったけど
自分では、満足したよ。

納得はできないけれども
一応、抗議はしたし

えっ!?

あぁ…。

残りのカレー?

まだ部屋にあるよ。

彼の話は魅力的で
私は、ついつい話に引き込まれてしまっていた。
日常の些細なことがらから
様々なリアリティを問われた。

私と彼の接点が

何処にあるのかはわからない
確かめる術も無いけれど

兎に角、ハチャメチャだった。


彼の名前は「野本和浩」という。

参照:http://www.h5.dion.ne.jp/~catn/index.html


自由詩 二〇〇三年一二月十五日② Copyright 板谷みきょう 2007-05-26 09:55:37
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