gospel
板谷みきょう

その人のことは
もう誰も憶えていないはず
ただ
命を覗いただけなのだから
仲の良かったのは昔
忘れて行くのが
当たり前
もう未練は無いのだし
互いの心
見える振りしただけのこと

ポケット一杯に膨らませた
中身は
色とりどりの薬の玉
一つ
一つ
口にほおばり込みながら
石狩街道を
海に向かって歩き始めたのさ

あれからのことだって
皆は口をつぐむだけ
もう
空の向こうにあるものだから
つながりは
切れてしまった
知っているだけの素振り

風の吹く先だって
勿論
見せかけだけのこと

ポケット一杯に膨らませた
中身は
色とりどりの薬の玉
一つ
一つ
口にほおばり込みながら
石狩街道を
海に向かって歩き始めたのさ


自由詩 gospel Copyright 板谷みきょう 2007-05-16 01:51:43
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