遊園地
カンチェルスキス






 休日の遊園地に人はいなかった。
 楽しかった。
 子供達が血を流して喜んでいる。
 頭が取れたい
 落ちた頭を蹴飛ばして
 底のない湖に落ちる音を聞いた。
 拡声器の声が
 地面の下の空洞を照らす。
 黒という黒の僻地。
 サンドウィッチの蝿の巣。
 ぎゅうぎゅう詰めの首無し死体。
 喜んでくれ。
 車椅子の人を蹴り倒したら
 人でなしと呼ばれなかった。
 殺されても仕方のない人が
 この世にいることを否定も肯定もできない
 抉じ開けた観覧車の窓から
 その人を突き落とした。
 生まれてからずっと正しいことばかりしてきた。
 遊園地。休日。
 ここには色は無くて
 口を開けた空が恐い。
 ジェットコースターの急傾斜。
 避難訓練。
 叫び方を知らない。
 黙ってる。黙ってる。
 ベンチ。
 自動販売機の取り忘れコイン。
 遊園地に人はいない。
 いないものによって作られた影が
 媚びて濡れてる。
 ただ一つ分かればいい。
 何を分かればいいんだ?
 夢から覚め
 違う夢を見て
 その夢から覚めたら
 奥行きが消えた。
 ぱらぱらめくって
 全てがおしまい。







 


自由詩 遊園地 Copyright カンチェルスキス 2004-05-06 13:31:43
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